あなたの空室は売れないのではなく、定価で違う人に売っていないだけ

火曜日の夜、あなたのホテルには12室の空室がある。明日の朝、この12室の価値はゼロになる。しかし値下げはできない。ブランドを傷つけ、既に予約した客に損をさせたと感じさせるからだ。問題は価格ではなく、あなたに独立した割引チャネルがないことにある。

あなたの空室は売れないのではなく、定価で違う人に売っていないだけ

火曜日の夜、12室の空室

あなたのホテルは80室ある。火曜日の夜、12室が売れ残った。

明日の朝6時、この12室の価値はゼロになる。値下げして売ったゼロではなく、何も回収できないゼロだ。

あなたはジレンマに直面している。

値下げする?あなたの公式サイトでは火曜日のツインルームがNT$3,500と表示されている。もし今日突然NT$2,000に下げれば、すでに予約した客が見て、差額返金を求めて電話してくる。さらに悪いことに、彼らは記憶する。このホテルの定価は信用できない。次回は値下げを待ってから予約する。

値下げしない?12室の空室、1室NT$3,500の潜在収入、合計NT$42,000が蒸発する。1ヶ月積もれば、30万〜50万の売上ギャップになりかねない。

あなたは「値下げしない」を選んだ。値下げの長期的コストが、空室の短期的コストより高く見えたからだ。

しかし選択を間違えた。問題は値下げするかしないかではない。問題は、あなたが「公式定価」と「販促チャネル」を一緒くたにしていることだ。

1年でいくら蒸発するか

この計算を明確にしよう。

あなたのホテルは80室、平日の稼働率70%。毎週約50〜60室分の空室がある。1年間で、約2,600〜3,100室泊分の在庫が蒸発する。

NT$3,500の定価で計算すると、1年間に蒸発する潜在収入は910万〜1,085万。

もちろん、すべての空室を売り切ることは不可能だ。しかし限定フラッシュセールでその10%を回収できたとする。年間260〜310室泊。フラッシュセール価格NT$2,500で計算すると、65万〜77.5万の増収になる。

そしてこれらの収入の限界コストはほぼゼロだ。部屋はもともと空いている。水道光熱費はすでに発生している。人員はすでにシフトに入っている。客が1人多くなることで増えるコストは、清掃費と使い捨て備品のみ。約NT$300〜500。

つまり、この65万〜77.5万のうち、80%以上が純利益だ。

あなたが「値下げしない」ことで放棄している純利益は、年間約52万〜62万。

公式定価の罠

あなたの公式サイト、Googleビジネスプロフィール、OTAの出品ページ。すべてが同じ価格を表示している。これは、どんな割引もすべての人に見えることを意味する。

これはデパートが、すべての商品に同じ値札をつけ、入り口に「全館半額」の看板を掲げるのと同じだ。すでに買った人は騙されたと感じ、まだ買っていない人は次の半額を待つようになる。

デパートはこの問題をどう解決しているか?「期間限定コーナー」「会員先行販売」「祝祭日ポップアップ」を発明した。どれも独立した販売チャネルで、日常の定価とは完全に切り離されている。消費者はポップアップ価格で日常価格を疑わない。それは「別のイベント」だから。

あなたのホテルにも同じものが必要だ。公式定価から独立した販促チャネル。

ワンポイントレッスン

価格差別の経済学

経済学には「第3度価格差別」(Third-Degree Price Discrimination)という概念がある。異なるグループに異なる価格を請求するが、同じグループ内では価格を一致させる。

映画館の学生料金、高齢者の交通割引、ビジネスクラスのフレキシブル運賃。すべて価格差別だ。重要なのは「差別」という言葉の響きではなく、異なる支払意欲の客から収入を獲得できることだ。

航空会社はこの分野の草分けだ。同じ飛行機で、エコノミーの最前列がNT$8,000、最後列がNT$3,500。2つの価格が同じ便に同時に存在しても、騙されたと感じる人はいない。それは「別の製品」(座席の位置やフレキシビリティが違う)だから。

あなたの空室も同じだ。火曜日の夜のNT$3,500の公式価格と、限定フラッシュセールのNT$2,500のセール価格は、「値下げ」ではなく「別の製品」だ。セール価格には制約がある。期間限定、数量限定、デポジットの事前払いが必要。

鍵となる概念は「価格隔離」だ。同じ部屋を、異なるチャネル、異なる条件、異なるパッケージングで、異なる支払意欲の客に売る。NT$3,500を払う意思のあるビジネス客は公式サイトで予約する。NT$2,500しか払いたくない慎重派の客は限定フラッシュセールで予約する。どちらも騙されたと感じない。彼らが買っているのは別の「製品」だから。

隔離しないとどうなるか?すべての客が同じ価格を見る。3,500を払える人は3,500を払う。2,500しか払えない人は予約しない。部屋は空いたまま。あなたはそのNT$2,500の潜在収入を失う。

価格隔離により、高意欲の客と低意欲の客の両方から収入を得られる。そして空室、明日にはゼロになる在庫こそ、低意欲の客にとって最適なターゲットだ。

「期間限定・数量限定+デポジット」が効果的な理由

想像してみよう。あなたがInstagramでストーリーズを投稿した。

「今週の水・木曜日、数量限定5室のツインルーム、1泊2食付NT$3,800(定価NT$5,200)。48時間限定、デポジットNT$500を事前払い。」

このストーリーズは5つのことをする。

第一、価格の隔離。これは公式サイトの値下げではなく、独立したイベントページだ。すでに予約した客は公式サイトでこの価格を見ない。

第二、期間限定。48時間のカウントダウンが希少性を作る。迷っている人は時間のプレッシャーで動かされる。

第三、数量限定。5室。たとえ100人が見ても、買えるのは5人だけ。希少性がさらに増幅される。

第四、デポジット。事前にNT$500を払うことで「気軽に予約して来ない」人をフィルターする。デポジットの金額は高くなくていい。その役割は収入ではなく、コミットメントのシグナルだ。

第五、パッケージング。単なる値下げではなく、「1泊2食付」のパッケージ。消費者が見るのは「部屋代が5,200から3,800に下がった」ではなく「3,800で部屋と朝食と夕食が手に入った」だ。

なぜOTAはこの手伝いをしてくれないのか

OTA(Agoda、Booking.com)のビジネスモデルはコミッション制だ。あなたが高く売れば、彼らの取り分も増える。最後の1室をクリアするための販促ツールをデザインする動機がない。

しかも、OTA上の価格は公開されている。そこで販促を行えば、すべての競合に見え、すべての予約済み客に見える。これはあなたの公式サイトで値下げするのと本質的に変わらない。

あなたが必要なのは、自分でコントロールできる、独立した、公開された定価とは切り離された販売チャネルだ。

手動 vs システム

限時フラッシュセールを手動でやることもできる。IGにストーリーズを投稿し、Google Formで注文を受け、手動でデポジットを確認し、手動で在庫を引く。

しかし毎週1回、毎回5室、月20室となれば、プロセスが必要だ。

部屋タイプと価格の設定 → 販売キャンペーンの作成(日付、部屋タイプ、数量限定を選択) → フロントに残り数量が自動表示 → 客が注文してデポジットを支払う → システムが自動で在庫を引く → 注文レポートのエスポート。

各ステップは単独で見れば難しくない。しかし繋げると、毎週2時間の手動作業、月8時間になる。この8時間を別のことに使えば、手動フラッシュセールよりはるかに高い価値を生む。

しかも手動作業のエラー率は低くない。オーバーブッキング、在庫引き忘れ、デポジットと注文の不一致。すべてのエラーが一件のクレームになる。


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空室問題と売上分析の問題は、コインの裏表です。レポートは「12室の空室がある」と教えますが、どうやってクリアするかは教えてくれません。

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