前回、私たちは一つのことを伝えました。売上は遅行指標であると。手元のレポートはすべて過去を記述しています。
だからあなたは「原因」を探し始めました。ツールボックスを開けると、中に3つの道具が入っています。
手法1:財務諸表を見る
これが最も直感的です。損益計算書、キャッシュフロー計算書、コスト構造分析。飲食収入が12%減少し、人件費が8%増加しているのが見えます。結論:飲食の効率に問題があり、人員を抑制すべきだ。
財務諸表の利点は明確です。体系化されており、比較可能で、過去の軌跡があります。上場企業のCFOはそれを基に意思決定を行い、投資家はそれで価値を判断します。
しかし財務諸表には構造的な死角があります。それは結果の要約であり、原因の記録ではないのです。
財務諸表は「飲食収入が12%減少した」と教えてくれます。でも教えてくれません。どのテーブルの客が来なかったのか。前回食べた料理が冷めていたからか。駐車場が廃止されたからか。隣に新しい店ができたからか。
損益計算書に「営業収入」という項目があります。その数字は、数千の独立した消費者意思決定の総和です。数字が下がったとき、あなたは総和を見ているだけで、一つひとつの決定の背後にある理由は見えません。
結果を持って原因を探すのは、検死報告書を持って感染症調査をするようなものです。 死因は明確に書かれています。でも感染経路はどこにあるか。わかりません。
手法2:受注を追跡する
これは財務諸表よりもリアルタイムです。毎日予約システムを見ています。今日は何室売れたか、ADRはいくらか、昨年と比べてPaceはどうか。
受注追跡の利点:リアルタイム、具体的、每一取引まで追跡可能。
しかし受注データには、より潜行性の高い死角があります。生存者バイアスです。
生存者バイアス——見えない弾痕
1943年、アメリカ海軍は一つの問題に直面しました。爆撃機が任務を終えて帰還すると、機体には弾痕が散らばっていました。軍は最も撃たれている箇所——主翼や尾部——を補強しようとしました。
統計学者のAbraham Waldは言いました。それは違う。
補強すべきは弾痕がない箇所——エンジンと燃料タンクです。そこを撃たれた機体は、二度と帰ってこなかったからです。あなたが見ている弾痕の分布は、「生存者」の弾痕の分布です。墜落した機体は、あなたのデータの中にありません。
あなたの受注データは、帰還した爆撃機である
すべての受注は、「あなたを選んだ」と決めた客から生まれます。「あなたを検討したが競合を選んだ」人は、受注記録を残しません。彼らはあなたのシステムの中にいません。データがきれいであればあるほど、生存者バイアスは深刻になります。残った人しか見えないからです。
受注追跡の問題はデータが足りないことではありません。あなたが常にすでにあなたを選んだ人たちを分析し、彼らの行動に基づいて、来ない人がなぜ来ないのかを推測していることです。これは論理的に成り立ちません。
もっと具体的に説明しましょう。過去3ヶ月で1,000人の潜在顧客があなたのホテルを検討したと想像してください。そのうち300人が予約し、予約システムに現れました。700人は予約せず、跡形もなく消えました。
あなたのレポートが分析しているのはその300人です。彼らの宿泊時間帯、消費金額、延泊率、クレーム記録を分析します。精緻なグラフとインサイトが得られます。
しかし、残りの700人はどうでしょう。彼らはどこへ行ったのか。誰を選んだのか。なぜあなたを選ばなかったのか。
あなたのレポートには彼らがいません。あなたのシステムには彼らがいません。彼らは「見えない拒絶者」です。選択をしたのですが、その選択(あなたを選ばないこと)はどのシステムにも記録されません。
Waldの洞察は今日でも通用します。あなたはデータがある場所(主翼)を補強していますが、補強すべきはデータがない場所(エンジン)です。ホテル業界において、エンジンとはあの700人の来ない人たちです。そして、エンジン上の弾痕をどうやって見るのか。700人の見知らぬ人に「なぜ私を選ばなかったのか」と聞くことは不可能です。
しかし、彼らはすでにあなたに伝えています。ただ、あなたのシステムを通してではありません。
手法3:市場調査を行う
では、客に直接聞けばいいと思いました。
NPSアンケート、CSAT満足度調査、フォーカスグループ。500部のアンケートを配布し、120部を回収し、結果を分析して、スコアと提案を得る。
市場調査の利点:直接的、構造化されている、「満足度」を定量化できる。
しかし市場調査には3つの致命的な構造的問題があります。
第一に、回答バイアス。アンケートに記入する意志がある人自体が、ランダムなサンプルではありません。満足した人には記入する動機があり(感謝を伝えたい)、極端に不満な人にも動機があります(不満をぶつけたい)。しかし「まあまあだったけど、次回は来ない」という層——最も大きな層——は記入しません。あなたの調査結果は、系統的に中間層を見落としています。
第二に、社会的望ましさのバイアス。アンケートで「このホテルを勧めますか?」と聞かれると、回答者の潜在意識は良い方向に偏ります。嘘をついているのではなく、人間は正式なアンケートの場では自動的に回答を修正するからです。
第三に、頻度の制限。市場調査は四半期に一度でも頻繁な方です。しかし客の感情は毎週変化しています。四半期のスナップショットで日常の意思決定を行うと、解像度が圧倒的に不足します。
Frederick Reichheld——NPSの考案者——が2003年にHarvard Business Reviewでこの概念を発表したとき、「たった一つの数字で成長を予測できる」と宣言しました。10年後、Reichheld自身が認めました。NPSのサービス業における予測力は、小売業を大きく下回ると。なぜか。サービス業の体験は動態的で、主観的で、状況に左右されるからです。0〜10の一つの数字では圧縮できません。
3つの手法に共通する死角
3つの手法を並べてみましょう。
| 手法 | 見えているもの | 見落としているもの |
|---|---|---|
| 財務諸表 | 結果の要約 | 一つひとつの取引の背後にある理由 |
| 受注 | 来た人の行動 | 来なかった人の声 |
| 市場調査 | アンケートに答える人の意見 | 答えない人の真の感情 |
3つの手法、3つの死角。しかし、同じ結論を指しています。
これらはすべて「何が起きたか」を見ています。「なぜ起きたか」を見ているものは一つもありません。
より正確に言えば、事後の数字と事後の回答を見ています。客が決定をしたその瞬間に、その真の感情を捉えた方法は一つもありません。
あなたの客はずっとあなたに伝えている
ある情報源が、3つの特性を同時に備えています。リアルタイム、飾り気のない、自発的な。
アンケートではありません(それはあなたが聞いたもので、必ずしも自発的ではありません)。受注ではありません(それは結果であり、感情ではありません)。財務諸表ではありません(それは要約であり、原文ではありません)。
あなたの客が、あなたの店を離れた後、自発的に、公開の場で、自分の言葉で、世界中の人に何を経験したかを伝えているのです。
この情報は毎日生み出されています。リアルタイムです。客は体験した当日か翌日に書きます。飾り気もありません。誰の審査も受けず、アンケートのフォーマットの制限もありません。自発的です。誰かに書けと言われたのではなく、語る価値があると思ったから書いているのです。
問題は、あなたがそれを読んでいるかどうかです。散在する、主観的に見える、感情に満ちた声を、行動可能な意思決定シグナルに変える体系的な方法を持っているかどうか。
それとも、あの総支配人と同じでしょうか。6月になって4月のレポートを見て、手元の3つの手法がすべて過去を指しており、客の声はずっとそこにあったのに、彼はただ聞いていなかった。
これらの声はどこにあるのか。どのような姿をしているのか。そこから3ヶ月先の売上動向をどう読み取るのか。
それが次に答えるべき問題です。
ダウンロード:死角比較表 + 先行指標入門
メールアドレスを残して、2ページの実用リソースをアンロックしてください。1ページ目は3つの手法の死角比較表(自己評価質問付き)、2ページ目は今すぐ観察を始められる3つの先行指標シグナルを解説しています。
手にした瞬間、ふとこう思うかもしれません。「これを毎週手作業で調べるなんて、誰に時間があるのか?」
その思いこそが、問題の出発点です。
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